2021年10月08日

インボイス制度の与える影響

こんにちは、小木会計事務所の谷口です。


先日、ブログにて成田さんがインボイス制度の
適格請求書発行事業者の登録申請が開始されたことについて
書かれていましたが、今回はインボイス制度によって
事業者(特に現在、免税事業者でいる事業者)が受ける影響について
書いてみたいと思います。


令和5年10月1日から消費税インボイス制度が導入されます。

インボイス制度では、消費税課税事業者(消費税を納税する事業者)が
税務署に登録の上発行する適格請求書がないと仕入税額控除ができなくなります。

例えば、88万円(内消費税8万円)の仕入をして
110万円(内消費税10万円)の売上があった場合
仕入を
@適格請求書発行事業者
から行う場合と、
A適格請求書発行事業者以外(免税事業者または登録していない消費税課税事業者)
から行う場合では、税金の金額が変わってきます。

@適格請求書発行事業者 から仕入をした場合

仕入の仕訳

仕入    80万円  /  買掛金   88万円
仮払消費税  8万円

売上の仕訳

売掛金   100万円   /   売上    100万円
              仮受消費税  10万円

となり、納税額は

消費税

仮受消費税 10万円 − 仮払消費税 8万円 = 2万円

法人税(税率30%とする)

(売上 100万円 − 仕入 80万円) × 30% = 6万円

税金合計

消費税 2万円 + 法人税 6万円 = 8万円 


@適格請求書発行事業者以外 から仕入をした場合

仕入の仕訳

仕入    88万円  /  買掛金   88万円

売上の仕訳

売掛金   100万円   /   売上    100万円
              仮受消費税  10万円

となり、納税額は

消費税

仮受消費税 10万円 − 仮払消費税 0万円 = 10万円

法人税(税率30%とする)

(売上 100万円 − 仕入 88万円) × 30% = 3.6万円

税金合計

消費税 10万円 + 法人税 3.6万円 = 13.6万円 


@とAではAの適格請求書発行事業者以外から仕入をした場合は
税金が5.6万円も多くなってしまいます。

金額はあくまで例えのお話ですが、こうなった場合には
自社が仕入するなら断然@の適格請求書発行事業者となるのではないでしょうか。


このようなことから、インボイス制度が始まった場合、
消費税免税事業者や登録していない消費税課税事業者が
企業間の取引から除外されてしまう可能税があります。

ちなみに消費税率が上がった際には免税事業者は消費税を納めないから
上がった分追加で支払う必要はない、という主張はNGでしたが、

今回のインボイス制度によって免税事業者から仕入税額控除を
受けられなくなるのでその分の値引きをしたり取引を中止したり
することはただちにNGではないようです。
(具体的な相談は公正取引委員会までとなっていました。)

よって、現在、消費税課税事業者である事業者様は
インボイス制度が始まるまでに適格請求書発行事業者の登録と
適格請求書を発行できる社内体制の構築が必要になります。

また、現在、消費税免税事業者の事業者様は
消費税課税事業者を選択して現行の取引先との関係を
維持するのか、または取引先が減少するリスクを負って
消費税免税事業者を継続するかの検討が必要になります。


今回のインボイス制度はかなりインパクトのある改正と
なりますので、しっかりと準備してのぞんでいきたいところですね。
posted by ☆小木会計事務所☆ at 15:54| Comment(0) | masanori
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: